sweet lovers B【BL】
「清治」

 放送部の看板である成都の声は、透き通っていて耳に心地良い。

「プチトマトあげる」

 頬杖を突いている俺の口元に、成都がプチトマトを寄せてきた。

「……嫌いだからって俺に寄越すな!」

 手を伸ばした俺は、成都の頬をつねる。
 その手を退けようと、成都が俺の手を掴む。

「痛い痛い」

 手を放すと、白い頬が俄に赤くなってしまっていた。
 ちょっと可哀想だったろうか。
 そんな風に思っていると、成都には俺が少し気を抜いている様に見えたのかもしれない。

「スキあり!!」

 空いている左手で俺のネクタイを掴み、ぐっ、と引き寄せられる。

「!?」

 体勢を崩した俺の口の中に、右手のプチトマトを指ごと突っ込んできやがった!

「ごちそうさまっ!」

 空になった弁当も、プレゼントもそのままに。
 成都は勢いよく立ち上がって逃げていった。

「成都!!」

 プチトマトのヘタだけを吐き出して、俺は大声を張り上げた。
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