BLUE
プロローグ
あれは、12歳の夏だった
「夏輝??」
「千尋、どうしたんだよ」
「海が…いないの」
「はあ??また!?」
あたし、千尋と
泣き虫な海
強気な夏輝
あたしたちは
この小さな島に住む、
幼なじみだ。
ザァ…
「風が…強いな」
「海…どこいったんだろ」
「あいつはすぐベソかくからな-」
ガッ
「きゃ!?」
「千尋!!!」
ガサガサガサガサッ
「いっ…てえ」
「夏輝…っ」
ドキン…
「千尋…平気か???」
「あ…ッ平気…」
び…っくりしたあ……
夏輝ってこんなに
大人っぽい顔立ちしてたっけ??
肩幅も広くて……
昔は小さかった夏輝が
今はあたしの事すっぽり
抱きしめられる体になって
ドキドキしてしまった…
「…夏輝??千尋…」
「かっ…海!!」
「夏輝ずるい!!千尋の事抱きしめてる!!」
はっ…
「わわわ悪い千尋!」
「ぜっ…全然!!」
ヤバい…
ドキドキが止まらないよ…
あたしが初めて恋という想いを知ったのは
12歳の夏だった。