ー雪女郎ー 雪洞と凪
「旦那様。・・・一度だけ。」








凪が、ポツリと言った。








実秋は驚いたような顔をした。








「しかし、凪・・・」








「笠で顔を隠せば、行けぬところでもございませんが・・・」









「命の危険を伴います。それでも、行く覚悟は貴方にありますか、お涼。」









お涼は、凪の瞳を見つめた。







「はい。」








凪は、笑った。









いつものように、優しく微笑むのではなく・・・








妖しい笑みだった。
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