ー雪女郎ー 雪洞と凪
「あたくしは、あの場から足を洗った身。行けません。」









「そうか。」








実秋は、低く呟いた。









「凪雛を身請けした日の夜を、まだ覚えているよ。・・・相手の顔さえ分からない、新月の日だった。」











「そうでしたか?」









凪は、悪戯っぽく笑った。








実秋は、ゆっくりと立ち上がった。










「わたしはもう一度会ってみたいと思っているがね。・・・雪洞に。」
< 25 / 75 >

この作品をシェア

pagetop