ー雪女郎ー 雪洞と凪
「黒猫?!」









美しく黒い艶やかな毛並みをした黒猫が、お涼の手の中でこちらを見ていた。








藍色の瞳をしたその黒猫。








「あ、あんたは・・・・・・」








お涼がそう話しかけようとしたとき。








「お藤ーッッ!!」








怒鳴り声が聞こえたかと思うと・・・







ドガッ








お涼は、猫もろとも吹っ飛ばされていた。








(何でこんな目に・・・)









唯一幸いだったこと。








笠がとれたにも関わらず、客達はこちらなど眼中にない様子だったこと。









幸いお涼の正体は気がつかれなかった。
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