ー雪女郎ー 雪洞と凪
「む、無理。」









色白に、美しい黒髪。








姫として育ったら、お涼など比べものにならないほどの美貌だったのだろう。








くりりとした瞳を細めた。








「どうしてでありんす?」










「ぼ、雪洞という花魁に・・・会わないといけないんです。」









お涼は、知らず知らず敬語を使って、拳を握りしめていた。









「雪洞・・・姐さんに?」








益々、妖しい顔をした?








姐、さん?









「こんなところで油を売って良いなんて、誰が言ったの。桃。」









艶やかな透き通る声が、響いた。
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