ー雪女郎ー 雪洞と凪
「桃。」








しばらくして、低い声で言った。








「な、何でありんすか?雪洞姐さん・・・」









「お客様を、庭へお通しなさい。」









静かに言うと、お涼を見ることなく踵を返して、建物中に消えた。








桃が、あわあわとよってきた。









「わっちは、姐さんが何を考えているか分かりんせん。でも・・・」










「あの方は、どんな人より人らしいから。」









桃の言葉に、お涼は首をかしげた。









桃は、小さく微笑み、








「こちらへ。」








可愛らしい声で言った。
< 41 / 75 >

この作品をシェア

pagetop