ー雪女郎ー 雪洞と凪
「この着物は・・・?」









ふと、凪がお涼に問いかけた。








「あ、あの方が・・・・・・私に、着せてくださいました。」









お涼は、震える声で言った。









初めて凪は、大門の内に立つ女性に気がついた。








「あ、あな・・・・・・」









「姫に男の格好などさせるもんじゃありんせん。姫は姫らしく・・・」








お涼は、先程言われた言葉を思い出した。









そして、キッと雪洞を睨んだ。








「先程も言いました。・・・姫は姫らしく。雪洞さんは、吉原に身分などない、と。」
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