ー雪女郎ー 雪洞と凪
「身分などないのなら・・・私にもっと。」










教えて欲しい。








姫だからと言わず・・・もっと教えて欲しい。








雪洞は、顔を上げた。








その瞳は、しっかりとお涼を見据えていた。









「あんたは姫だ。大名家の姫。」








「わっちは花魁。吉原で生きる花魁。」








「人はには、ちゃんと役目がありんす。」









「全うしなければならない、役目が・・・」









雪洞は笑った。









妖しい笑みで。
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