ー雪女郎ー 雪洞と凪
「貴方のことを心から、想っている人が。」










凪は立ち止まり、お涼と向き合った。









「貴方が何故吉原に行きたいといったのか・・・父上の素行だけが、原因ではないんじゃないのでしょうか?」











「寂しい時を過ごしていた貴方は、この世に本当の意味を見出せなくなっていたんじゃないのですか?」











お涼は、ふっと毎日を思い返してみた。









父は、仕事でかまりきり。








母は、病弱で会えない日々が続く。









近くにいる二人を、ちゃんと見ようともせず・・・









遠い遠い・・・違う場所を見てしまっていたのかもしれない。
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