ー雪女郎ー 雪洞と凪
「叔父上様。先程言われた、姫であって姫でない。とは、どういう意味ですか?」







茶会が始まり、談笑のさなか、お涼が問うた。






実秋は、優しい微笑みを見せた。







「そう深く考えるものではない。私は仮にも武士だからな。こういうことは言って良いのか、正直分からない。」







そう言って、酒をあおった。








「だがな、形そのままであるものを私はおもしろいと思えないんだ。」








「殻を破れば破るほど、おもしろい人間になると思う。」








「旦那様。お涼に変なコト、言わないでくださいな。わたくしは、彼女に立派な姫として嫁いで欲しいんですから。」








凪は、そんなことを言いながらも笑っている。








「桜・・・」








ポツリとつぶやいた凪の言葉は、誰にも届いていなかった。
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