ー雪女郎ー 雪洞と凪
「ようやくあの鈍い雪洞も気がついたか。」










随分と歳をとった美楼閣の女将・・・いや、天秤は微笑んだ。










「お前は・・・この吉原で、何にもたとえられない。」










「大きくて、たくさんの愛をもらっているんだ。」










女将は、腰を上げた。









そして、つい昨日までは煌びやかだったが、今では、閑散とし・・・









自分が、長く居続けた部屋を見渡した。









「わっちの役目もここでは終わった。」










「風華。ようやく、わっちもここよりも広い空を見上げることができそうだ。」
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