年上のイジワル彼氏


  「なんでそんな真っ赤になってんの?」

 頭上から、声がふってくる。

 ・・・あなたが、つかんでるからです。


  「熱あるんじゃね?」

 長くて細い指が、あたしのあごに触れた。


 あごが、熱くなる。


  「顔、見せて。

   ・・・ほら、真っ赤じゃん」


 おもいっきり、正面から顔を見られるハメになった。

 春川くんが観察するような視線をあたしに向ける。

 や・・・

 やめて、見ないで、恥ずかしいっ。

  「真っ赤じゃないです」


 何言ってんだ、あたし。

  「・・・強がり」


 低い声でつぶやくと、やっと開放してくれた。


 体中が熱くて、腕とあごは特に熱い。

 顔から火がでるような・・・。


  「ピアノ頑張れよ、純情チャン」


 なにか企んでいるような、そんな笑顔をみせて教室に入って行った。


 ・・・っか・・・かっこいい・・。
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