年上のイジワル彼氏


 「カノジョ、ほっといていいんですか」


  ・・・なんて、聞けない。

  あたしは、集中してアドバイスを聞くため、

  首をフルフルと振った。


 「っ何いきなり首ふってんの?」


  は・・・

  変なヒトって思われちゃったかも。


 「やっぱおもしろい・・・」

 「え」

 「や、なんでもない」


  あたしの頭上で、

  低い声を響かせて、笑っている。

  うんと甘くて、かわいくて、

  だけど男らしくて華やかで・・・

  やっぱりキュンってした。


  やばい。

  もっと話したい。

  もっとピアノのこと教えてほしい。

  ピアノ以外のことも話したい。

  ずっと見ていたい。

  あたしだけ見てほしい。

  カノジョなんて見ないで。

  ねぇ・・・

  お願いだから。


 
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