年上のイジワル彼氏



  声が出ない。

  身動きとれない。

  ドキドキが止まらない。


 「...隆ッ...くん...」


  誰か来たらどうしよう。

  

  物音ひとつしない

  夜の校舎で、

  あたしと隆くんは

  抱き合ったままだった。


 「...好きな人いる...?」



  ふいに隆くんが聞いた。


 「...いない」


  隆くんが好き。

  隆くん以外の好きな人、

  いない。


  語尾が震えた。

  でも、ウソはついてない。

  ...たぶん。


 「なぁ優香...」



  あたしはさらに

  抱き寄せられた。


  あたしはこのとき、

  隆くんのカッターシャツに

  手をまわしていた。


  そして、

  弱々しくだけど、

  握っていた。




  
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