小さなキス。
さらっと涼しい顔して問題発言したんだけどこの人!
「な、な何言ってんの!?あたしには晴輝がいるって知ってんでしょ?!」
小学校からの同級生だし、知らないはずがない
「ま、友達としてだけど。」
……は?
「え、ちょ…何それ?」
「そんじゃなー。」
「え?」
気がつくともう校門が見えていた
すっ──とポケットの中の手を離し、あたしより先に歩いていこうとしたとき
「……晴輝に気をつけろよー。」
あたしの耳元でぼそっと囁き、ひらひらと手を振って校門に入っていった
一体なにがしたかったの?あいつ………
まあ圭太のことだから本当に寒かっただけかもね……
───……晴輝に気をつけろよー……──
ふいに頭をよぎった圭太の言葉
…………まさか…
嫌な予感が当たらないようにゆっくり振り向くと…、
「……こんの浮気者がー!!!」
は、晴輝!!
猛ダッシュで追いかけてくる晴輝に、逃げなくてもいいのに逃げるあたし
「違うの!晴輝!!あれにはわけが!」
「俺のこの想いはお前に伝わってないんかぁー!!こんなに好きなのにー!!!」
「ぎゃー!!やめてー!!恥ずかしーっ!!///」
半分泣き叫びながら
追いかけっこするあたしたちの声を聞きながら、原因の圭太は、ふっ──と一瞬笑みを浮かべて校舎に入っていった
「……次はキスでもすっかな。」