[短編]ゆっくりと
「何笑ってんだ?」

コップを手に持ち冬花の隣に移動した。

冬花はまだニコニコと笑っている顔を上げて口を開いた。

「なんかね、秋人がコーヒーを飲んで幸せそうだったから嬉しかったの。秋人のことをひとつでもわかっているのがあるんだと思うと、私って彼女なんだなぁって思えるの」

冬花の話を聞いていて秋人は眉間に皺を寄せる。

「別にわかっていなくてもお前は俺の彼女だろ」

そう言えば冬花は悲しそうに笑った。

何故、そんな笑顔するのか疑問に思い秋人は自分と冬花のコップをテーブルに置き向かい合うように座った。

「今日、何かあったか?」

冬花は下を向いて黙り込んでしまった。

無理矢理聞き出してもよかったが、秋人はそんなやり方は好まない。

だから、冬花が話してくれるのを待った。

冬花もそれをわかったのかおずおずと話しだした。

「今日、秋人の友達の女の子とあったの」

冬花の言葉にまた秋人は疑問に思った。

(俺に女友達いたっけ…?)
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