[短編]ゆっくりと
「深兄帰って来るかもよ?」

「あいつ今日海里のとこ行くって言ってたから当分帰らないんじゃないか?」

そう言って今度は首筋にそっと口付けた。

一層、顔を赤くする冬花が愛しくて頭を優しく撫でた。

「気長にな」

冬花は秋人の胸に顔を埋め、小さく頷いた。

「そう言えば、海里本買ったから帰ったら早速読むって言ってたよ?」

「あー、あいつ当分の間ほったらかしにされるな」

その光景が容易に浮かんで二人で笑い合った。

ゆっくり知ってくれればいい。

だから、君の事もゆっくり教えてくれればいい。

誰にも邪魔されず二人だけで。

「秋人、あったかい」

「冬花もな」

冬花は腰に手を回し抱き締め返すと秋人は嬉しそうに笑った。

窓からは太陽の光が入ってくる。

ぽかぽかと暖かくなってくるのは太陽のおかげかなのかそれとも、二人の体温のおかげか。
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