初恋リミット
やがて同窓会の時間が迫ってきた。
今は二人とも化粧を直している。

「茗子」

一通り直し終わり、茗子の名前を呼んだ。

「何?」

茗子はマスカラを塗り直しながら答える。

「今日誰が来るか知ってる?」

「詳しい参加者は知らないわ。でももう直ぐお盆だから地元から離れた人達も結構帰ってきてるみたいよ」

「そっか」

怜士やその彼女である津川成美さんも来るのだろうか。

「……そう言えば、コウスケも行くって言ってた」

私はふともう一人の幼馴染みの名前を出した。

私と怜士と茗子とコウスケ。
家が近いこともあって、よく四人で遊んでいた。

実はコウスケは今地元を離れ私と同じ大学に通っている。
同窓会のメールが回ってきた後に偶然会ってその話をしたのだ。

コウスケに密かに想いを寄せていた茗子はきっと喜ぶはず!

ところが返ってきたのは「ふーん、そう」と言うなんともあっさりしたものだった。

「えっ?それだけ?久しぶりにコウスケに会えて嬉しいとか無いの?」

私は茗子が「ホント!?久しぶりだから緊張しちゃう!!」とか可愛い反応を返してくれると期待していたから肩透かしを食らったような気分だった。

「あのねーユズ。私はもうアイツに未練なんか無いの」

茗子は呆れたような顔でそう言い切った。


コウスケ、あなたの恋は望みが薄いかもしれません。

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