初恋リミット
first day

*再会

駅を出ると、燦々と輝く太陽に出迎えられた。

「帰って、来たんだ……」

駅前の商店街を見て呟いた。



13歳まで私、倉本柚月(クラモトユヅキ)はこの町で育った。大きなショッピングセンターもファーストフード店も無いような小さな田舎町。それが私の故郷。

今から7年と半年ほど前、中学2年生になるのと同時に遠く離れた地へ引っ越した。それから今日に至るまで一度もこの町へ帰ってきていない。その理由を「遠いから」ですませているけど、本当は別の理由がある。私は"彼"に会うのが怖いんだ。何も言わずにこの町を出たから"彼"にどう思われたか知るのが怖かった。大好きで、大切だったから。ううん。それは過去形じゃなくて現在進行形。

あれからもう7年も経っている。もしかしたら"彼"はもう私のことを忘れているかもしれない。
それでもいい。私は自分の中にある"彼"との物語を完結させなくちゃいけない。

携帯を開いて時計を確認した。メイコとの約束の時間までまだ余裕がある。でも残念なことに駅前には時間を潰せるような場所がない。
どうしようかと悩んでいると、道を挟んだ向こう側の小さな公園で子供たちが遊んでいるのが見えた。

「そうだ、学校に行ってみよう」

良い暇つぶしを思いついたことで、私の足取りは軽くなった。

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