初恋リミット
私は長い間通っていた小学校へ行くことにした。
駅は町のちょうど真ん中にあり、右を行けば小学校、左を行けば中学校がある。どうせ暇なんだから遠回りをして中学校にも寄ってみることにした。



一年しか通わなかった中学校への道のりは少し曖昧になっていた。というのも、この7年で街並みがずいぶん変わってしまっていたからだ。私は記憶を頼りになんとか中学校まで辿り着いた。

「やっと着いた。……あれ?なんか、違う」

校門から見える校舎は私が通っていた7年前のものとは違って見えた。建て替えでもしたんだろうか?
あとでメイコに聞いてみよう。

校舎を眺めていると、車のドアが閉まる音がした。何気なく振り返ってみると、道を挟んだ斜め向かいの家の前に車が一台止まっていた。家の前で同い年くらいの男女が話をしていた。
たぶん二人は付き合っているのだろう。女性の方は雑誌から飛び出したような美人だった。男性の方は後ろ姿しか見えないけど、長身で服のセンスもいい。モデルのような彼女と付き合っているんだから相当のイケメンなんじゃないかな。
そんなことを考えていると、二人の話し声が聞こえてきた。

「後で迎えに来るから」

「わかった。待ってるね、レイジ」

ッ!!

ドキリとした。
こんなところで"彼"の名前を耳にするとは思わなかったから。
名前だけで彼だと判断するのは早い。たまたま同じ名前なだけかも知れない。

でも……、どうして目を逸らせないの?

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