初恋リミット
男性は彼女が家の中に入るのを見届け、車に乗り込もうと体を反転させた。

ヤバッ!

男性が振り向いた瞬間目が合ってしまった。目を逸らせばいいだけ、何も見てないフリをすればいいだけなのに、体が動かない。



~♪

静寂を破ったのは携帯の着信を告げる音だった。
我に返った私は何事もなかったかのように体の向きを変えて歩き出した。携帯を取り出し、ディスプレイを確認して電話に出る。

「もしもし、メイコ?」

『ユズ?私もうすぐ家着くけど、今どこ?』

「あ、今、中学校」

『中学校?何でまたそんなとこに』

「暇だったから、寄ってみただけ。今からメイコの家に行く」

『迎えに行こうか?』

「ううん、大丈夫」

『そう。じゃあ気をつけてね』

「うん。また後で」

そう言って電話を切った。
後ろを振り返ってみると、男はもう車に乗り込んだ後だった。

あれは"彼"だったんだろうか……。

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