初恋リミット
「怜士、それどういう――」

「あっ。メイコ」

さっきの言葉の意味を問いただそうとしていた私の言葉は怜士によってを遮られた。
怜士の視線を追って窓の外を見ると、無表情のメイコがドアに寄りかかり腕組みしてこっちを見ていた。機嫌悪いのかな?

「……送ってくれてありがとう。じゃあ」

もう問い掛けを続けることは出来なくて、私は渋々車から降りた。

「おぅ」

怜士は何事も無かったかのように笑った。ドアを閉めると車はすぐに走り去った。

やっぱりあの言葉に深い意味はないのかもしれない。

「ユズ、おかえり」

門前に立ち尽くしていると、後ろからメイコに声を掛けられた。振り返ると、メイコはあの頃と変わらない笑顔で微笑んでいた。

「ただいま」

私は苦笑いで答えた。

菅原茗子。幼馴染みで親友。子供の頃からダントツで可愛かったけど、その可愛さは変わっていない。むしろ磨きが掛かってさらに綺麗になった気がする。

「歩いて来るって言ってたからもっと遅いと思ってた」

茗子は「どうぞ」と言って家の中に招き入れた。

「あ、そう言えば、なんでわかったの?」

茗子の部屋へ行くために階段を上りながら、前を歩く茗子に尋ねた。

「外見たら怜士の車が止まってたから、もしかしてって思ってね」

「そっか。怜士とは学校の前で偶然会ったの」

「そう。学校、ね……」

茗子からの返事は明らかに声のトーンが低くなっていた。前を歩く茗子の顔は見ることが出来ないけど、きっと笑顔ではないはずだ。

「何か、あった?」

私は茗子の背中に問いかけた。

「ちょっとね」

そういって振り向いた茗子は、意味深な表情を浮かべていた。

「まだ時間あるし、昔話でもしましょうか」

そう言って茗子は自室へ入り私もその後に続いた。

きっと私がこの町を離れてから色々あったのだろう。
私の知らない茗子達の7年。

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