誘惑☆ダーリン-三人の王子様-
「泣いてなんか……っ」
泣いてるくせに。
泣いてないなんて嘘をつこうとする。
そんな僕はいくじなし。
まだ、なにも役目を果たしてないのに勝手に空回りして泣いている。
そんな僕は弱虫。
「まだ終わってない。例えくるみが日向のものになったとしても……」
翠は後ろを向き歩く。
「くるみを思い続けることがくるみのためで、楓のためでもある」
翠の言葉は、鋭く温かいものだった。
僕には、やっぱり、くるみちゃんを諦めるなんてできない。
この恋を終わりにするなんてできない。