Romance Cutter ―初恋の傷請け負い人― 第五話
ケイはふと、影祭りの夜の、あの未恋の、自分に対する激しく熱い想いと重ね合わせながら、


-色白で、人形の様に無表情なはずの君が、激しく泣きながら、僕の胸の中で泣いていた事…それだけが、他の記憶と全く、違う!
しかも、他の記憶とその記憶が結びつくまでの期間だけが空白で…どういういきさつでその様になったのかが見あたらないんだ!きっと、その空白の部分こそ、僕が求めている物であるはずなのに。


…君が僕に教えてくれたやり方で、君の言う僕の「心のかけら」を探してきた。ただ、そのかけら達は、実はすぐそばに散らばっていたみたいだよ。
そしてそのありかが、ここだ…-


ケイは、ほんの少し、左手首側から包帯をずらし、例の他の物とは違う傷跡を、右手人差し指でなぞりながらそうつぶやいた。



-ざあざあと、激しく降る、雨。ー



「…うぅ…ん。?あっ…知らない間に眠っちゃっていたみたいだ。」
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