Romance Cutter ―初恋の傷請け負い人― 第五話
…色とりどりの、華やかなデザインが散りばめられた和紙でコーティングされた、その小箱。しかし、開かれたその小箱の中に入っていたのは、血糊でべったり彩られた、小型の刃物だった。


-血まみれになった、ロマンス・カッター!-


「ケイ!そ、それはまさか…い、いや、これがここにあるはずがない!あれはあの時、刑事等に提出…」
ケイが振り返ると、いつしか賢がすぐ後ろに立っていた。顔を紅潮させ、両拳を強く握りしめて、振り絞ったような声で言った。それに対して、ケイは言った。
「そう、違う。これはほのかが使用した物ではなく、この僕が…」
「…ここは、桜の木の下…!?まさか、あの時の…あっ、待ちなさい!」
いきなりケイは、その、血まみれになったロマンス・カッターの入った小箱を拾い上げると、急いで離れにある、自分の部屋に駆け込んで鍵をかけて閉じこもった。
部屋の外から、ドンドンと、激しくノックする音が聞こえる。
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