キミが好き
脆い関係
………
肩で息をして、ステージの上から俺を強く見てくる朱里。
時間も周りも止まったように、何も聞こえなくなった。
なのに、朱里の声だけはこの耳に届いて。
「…すっごく、すっごく、大好き」
そう言った朱里に、何故か胸が騒いだ。
強い女。
…いつもは、すぐ泣くし。
目立つのが嫌いなくせに。
何やってんだよ。
「さぁ!山田くん返事は…!!」
司会者が俺を見てくる。
でも……
こんなん簡単に、返事出来るかよ。
バカ女め。
まじでバカ。
「バカじゃねーの?」
俺はステージに上がると、何故か睨み付けてくる朱里の手を握った。
「…逃げるぞ」
騒ぐたくさんの生徒たちと、期待した目で俺たち2人を見ていた司会者を置いて体育館を抜け出した。