キミが好き
「はぁ…っ!はぁ…っ」
気づいたら朱里の腕を掴み走っていた。
「ちょ、っと…山、田!」
しばらく、走ったところで朱里が限界と俺の腕を引っ張った。
「……すまん。」
俺はぶっきらぼうに謝って、立ち止まる。
後ろでは、息を整える朱里。
「はー…疲れたっ」
いつものように話ながら、地べたに座り込む朱里。
黙ったまま、立っている俺に座れば?なんて言ってきて。
なんで、この女余裕なんだよ。
そう思いながらチラッと朱里を見ると、豪快に座っているのに小さく震えていた。
そんな朱里が小さく見えて。
今にも、消えてしまいそうで。
俺は、怖くなった。
でも、朱里は強がっているのか
「なんで断らなかったのー?みんなの前で振られたら可哀想だと思った?」
同情したんでしょ?と笑いながら俺の顔を覗き込んで来る。
なのに、目には涙を溜めていて。
よくわかんねー女。