キミが好き



でも、


「もう、見ない!」



諦めるんだ。



そう決意するように言ったあたしに奈都は


「なんで?見てなよ」



と決意を揺るがす一言。


ちょっと〜
奈都さんや。


「誘惑しないでっ」


と、鏡に向かって髪を結び直す。



「別に誘惑とかじゃないけどさ、朱里はそれでいいの?」



「……」



「ねぇ、朱里。もっと向き合ってみたら?ぶつかってみたら?」



「…っぶつかったよ!向き合ったよ!それでも…、それでも……無理だったじゃん」



つい、怒鳴ってしまった。


奈都は悪くないのに。


正しいことを言っているのに。






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