キミが好き
あたしは、そのまま山田に背を向けた。
背中に山田の視線を感じながら、どこに行くわけでもなくあたしは歩いた。
走り出してしまいたいのに、走らないのはきっと山田を待ってしまっているから。
山田が、ヤキモチ妬いたんだ、って言ってくれるような気がして…。
でも、山田から何の言葉なんてなくて
ふと振り返るとそこに山田の姿はなくて
乾いた笑いが漏れた。
「…はは…」
結局、あたしの片思いか……
わかってた、わかってたよ。
淡い期待なんか抱いたあたしが悪かったんだ。
山田があたしを見てくれるなんて、期待したあたしがバカだったんだ。
そうわかっていたのに、頬を伝う熱い滴を拭うことすら出来ず
あたしは、行き先もなく
ただただ、歩いた。