キミが好き
あたしは何も見ていなかったんだ。
何一つあたしは見ていなかったんだ。
「ライチは強いね…」
あたしはそんなに強くないよ。
強くなれないよ。
「朱里のことだから強くなれるんだ」
「…?」
「絶対に諦めたくないものだから…渡したくないものだから…強くなれる」
忘れていたあの頃の想い。
山田に振り向いて欲しくて、突っ走っていた。
どんなに泣いたって、辛くたって
誰にも渡したくなかったから、あたしは強くなれたんだ。