キミが好き




「はぁ…っはぁ…っ!」



いくら走っても走っても、山田は追いかけてなんか来ないのにあたしは思いっきり走った。



ドン…!!



外に飛び出ると、誰かにぶつかって尻餅をついてしまった。


「…ご、ごめんなさい!」


あたしは慌てて涙を拭い、立ち上がる。



パッと見上げると、哀しそうに眉を下げたライチの姿。



「………朱里」



あたしを呼ぶ声は、哀しく優しく泣き崩れそうになる。



< 186 / 220 >

この作品をシェア

pagetop