キミが好き





きっと、あたしは酷い顔で優くんを見ていたと思う。


でも、優くんの顔は穏やかだった。



「朱里ちゃんから別れたって聞く一週間前ぐらいに、悠に会ったんだ…」



「山田に…?」



「うん、その時、俺が朱里を縛りつけてるって苦しめているって…言ってた」



あたしを縛りつけてる?



苦しめている?



確かに、辛くて苦しかったよ。



でも、縛りつけてなんか…ない。



ううん。



縛りつけてくれていたら、どんなに幸せだったか。


山田から愛されているって感じられたか。



いつか、妬いてほしくてライチの話をしたときも興味なさそうにしていて、妬いてくれるなんて期待していた自分がアホらしく思えたんだ。






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