キミが好き
あの日は、カッとなったあたしは一人帰ることにした。
それから、一週間という時が経ちあたしは山田の家を出ることになった。
新しいアパートは、少しお洒落なアパートでセキュリティもよく、家具も揃っていた。
敷金礼金もタダで、家賃もそんなに高くないし。
すごく条件がよかったから、ここに決めた。
と言っても、ここを探してくれたのはライチ。
いや、探してくれたというかこのアパートにライチが住んでいて紹介してくれたんだ。
「ちょうど、空きがあったからよかったよ。しかも、これなら朱里と出勤出来るしねーっ」
ニッコニコのライチ。
「一緒に出勤しません」
冷たく言っても、笑っていてこんなあたしの引っ越しの手伝いまでしてくれている。
「ライチ。せっかくの休みなのにいいの?彼女とかいないわけ?」
段ボールを軽々持ち上げて、借りてきたらしいトラックに積んでくれているライチに話しかけた。
「ひっでーな、朱里。俺は本気で朱里が好きなんだって!彼女なんていねぇよ」
「ばーか!」
こんなあたしが好きなんて、とんだ物好きね。