キミが好き




「わかった。じゃあ、10分だけ!」



そう手を合わせるユウ。


全然わかってないじゃん。


さすがに、可奈も顔を歪ませる。



空気読めない男は嫌い。



喉まで出かけた言葉を呑み込みまた断ろうとしたとき。



「嫌がってるのわからない?」



斜め横に座っていた優くんがいつの間にかかばうようにあたしの前に立っていた。



「…優くん。」



意外と大きい背中。



男らしくて、かっこよかった。



ユウは、



「新しい男かよ」



手ぇ早いなー、と言い残すとササッと退散していった。



手が早い…。



優くんはどう思ったんだろう?



軽い女だと思った?


軽蔑した?


幻滅した?



でも、あたしの目の前にいたのは優しい笑みを向ける優くんの姿だった。
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