キミが好き
そう言った、優君に観念したように山田は話し出した。
「いるよ、10年、片思いしてる…」
「…えっ」
優君の驚いた声に、山田は乾いた笑いを溢すと
「あー…かっこわりぃな、俺。だから、言いたくなかったんだけどな」
そう言って、悲しそうに揺れる瞳で天井を一点に見つめる山田に、ぎゅうと胸が締め付けられる。
あたしと、山田は出会ってから4年程度。
だから、あたしではないことは確かなんだ。
「悠、かっこ悪くなんかねーよ?俺も好きなやついるし…?」
そう言った、優君。
いつも一緒にいる2人を初めて遠く感じた。
あたしが、山田を想うように山田も誰かを想い。
可奈が優君を想うように、優君も誰かを想っている。
みんな同じ、想いを抱えているのに遠くて遠くて、今、一緒に寝ていることが不思議なくらい。