キミが好き
「ありがとな、優」
「いや…─で?名前は?」
そう言った、優君にあたしは耳を思わず塞ぎ、布団を被る。
聞きたくない、聞きたくないよ。
でも、聞こえてしまったその名前。
「相良 由梨(さがらゆり)つーの」
そう言った山田の声があまりにも優しすぎた。
柔らかくて、落ち着いた山田の声。
胸はキリキリ痛んで、目にはうっすらと涙が浮かぶ。
「…っ…」
…────ねぇ
どうして、人は人を想うの?
どうして、あたしは
山田 悠を好きになったの?
そんなこと、自分が一番わかっているのにあたしは、問わずにはいられなかったんだ。