キミが好き




でも、そんなあたしの手をぐいっと、引っ張って山田は真面目な顔をした。



「お前なんか変だぞ?」



ドクン。



「あははっ、やだな〜あたしが変なのはいつものことでしょ?」



そう言って、笑ってみせたのに山田の顔は真面目なまんま。


じっ、とあたしを見てる。


「ちょっと…っ、放してよ」



こんな空気に堪えられなくて、手を振りほどこうとするのに山田の手の力が強すぎて放れない。



「いい加減にしてよ…っ」


「やだ」



「やだって!子供じゃないんだから…っ!」



「じゃあ、そんな顔すんなよ?」




…─え。



「なに、言って……」



「なにじゃねーよ、泣きそうな顔して笑ってる」



…─泣きそうな顔



あたし、そんな顔してたんだ。



すぐに顔に出ちゃう自分を恨む。



「言えよ、悩みあんなら」



< 40 / 220 >

この作品をシェア

pagetop