キミが好き




そんな優しくしないで。


優しくしないでよ。



泣きたくなるでしょ?



もっと好きになっちゃうでしょ?




でも、それはいけないこと。



全部、全部、山田を困らせるだけ。



今、思ってること話したらきっと山田は困る。



それと同時に、あんたの隣には居れなくなっちゃうんだ。



だから、言えない。



言わないの。



あたしは、俯いた顔を無理矢理上げて笑顔に変えた。


「も〜っ!心配しすぎなんだよっ、山田は」



「は?」



「あれれ〜?それとも、あたしのこと、心配するほど好きなの?」



自分でも、びっくりするくらい笑顔になれた。



「んなわけねーだろ、誰が貧乳なんか好きになるかよ」



ズキン。



うん、知ってるよ。



山田は相良さんが好きだから。



あたしなんて、眼中にないってことくらい。



だからね、これでいいの。


これでいい。



「うっさいわ、貧乳で悪かったわね!」




…─素直じゃない自分が嫌い。



…─弱い自分が嫌い。



…─無理して笑う自分が大嫌い。





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