キミが好き
あたしは、思わず走り出していた。
「…はぁ…っ…はぁ…っ」
見たくなかった、ツーショットはあたしの脳裏に焼きつき胸が痛いほどに締め付けられた。
こんなの経験したことなくて、それを振り切るようにして走った。
「はぁ…っ…うっ…」
突然、降りだした雨と涙が混じる。
ザーザーッ
雨がこのどろどろした感情を洗い流してくれたら、いいのに。
バタンッ
「…──っ」
ようやく、止まれた足は転けて擦りむいてしまった。
「…っ…」
そんなあたしに、手を差しのべてくれるのは、いつも奈都だった。
「大丈夫?朱里。痛くない?」
優しく声をかける奈都に、涙は止まらなくなった。
「痛いよ…っ、痛いよ…胸が痛いっ…」