キミが好き
合宿以来、優は可奈とすっかり仲良くなっていた。
優も“可奈さん”から“可奈ちゃん”と呼び方も変えて。
「ねぇ、ねぇ、優君っ」
「あ、可奈ちゃん。」
笑顔でかけよる可奈に気付き、パタンと本を、閉じた。
「どうかした?」
そう問うと、頬をピンクにした可奈ちゃんがにっこり笑って二枚の紙を差し出してきた。
「あのね、映画のチケット友達からもらったの、見に行かない?」
「え…?俺と?」
うん、と小さく頷く可奈ちゃん。
可奈ちゃんが、俺に好意を持ってくれていることはわかってた。
なのに、俺は気づかないふりをしていた。
気持ちもないのに、応えることも出来ないのに俺は、思わせ振りな行為ばかり取ってしまう。
「いいよ、行こうか」
自分でも、ズルいってわかっている。
でも、嫌われるのが怖くて。
1人になるのが怖くて。
弱い自分がそうさせるんだ。
「本当に?やった〜」
嬉しそうに笑う可奈ちゃん。
俺は、可奈ちゃんが羨ましくなった。
いつも真っ直ぐで積極的で、逃げない可奈ちゃんを。