傷だらけの僕等
気がつくと、あたしは先生に体重を預けていた。

なんで先生があたしを抱きしめてきたのか分からなかった。

だけどこの瞬間がどうしようもなく心地よくて…

ずっとこの幸せをかみしめていたいと思ってしまった。

こんな幸せ、続くはずないのに。


でも、もういい。


先生があたしを抱きしめてくれた。

たとえそれが先生の意思じゃなくても…

この腕に包まれた幸せな記憶があれば、あたし…これから生きていけるよ。

もし、闇に戻ることになっても、あたしはそれでいいから。

だから声、戻って。


先生に
「ありがとう」
って言いたいから。


だから声、戻って。

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