傷だらけの僕等

言葉となる真実

* * *


「あたしの話、面白くないよ。」

「ああ。分かってる。」

「それなのに聞きたいの?
大体予想はついてるんでしょ?」

「お前の口から聞きたいんだ。」


あえて残酷なことをしてる。

そういう自覚は当然あった。

彼女の話も大体見当はついている。






『過去は過去、未来はこれから変えられる』

なんてそんな綺麗事を彼女に言うつもりはない。

過去を過去だと切り捨てられる人間なんてほとんどいない。

俺もその一人なのだから。

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