傷だらけの僕等
「とにかく着替えろ。行くぞ。」

「でも…」

「まずはとにかく着替えろって。」

「……分かった。」

彼女は奥の方へ行って着替え始めた。

俺はケータイを探す。


「もしもし?今日暇だろ?
メイクボックスとかなんか小道具とかいろいろ持って来てくんね?
彼女の外見を少しいじってもらいたい。」

「あんた第一声が『暇だろ?』ってどういうことよ?
あたしがいつも暇人みたいじゃないの。
今日はたまたま暇なのよ?分かってる?」

「分かってる分かってる。
ちょっと急いでくれよ?」

「あんたね…
じゃ、今度駅前のホテルの高級ディナー奢りなさいよ?」

「分かったって。大至急よろしく。」

「はいはい。」


* * *


「先生?誰と電話してたの?」

彼女はワンピースに着替えていた。

「俺の姉。今からここに来て、ちょっといろいろしてもらおうかと思って。」

「お姉さん?」

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