傷だらけの僕等

「あ、朱音。」

「何よ？」

「顔はかなり可愛いからっつーか、お前の好みな顔だと思うけど、いきなり抱きつくとかそういうのはナシな。
俺にもようやく普通っていうか少しは心開いてくれたっぽい感じなんだから。」

「分かってるわよ。
あたしだってそんなはしたない真似はしないわ。
って、あんた、よっぽど可愛がってるのね彼女のこと。」

「何言ってんだよ？」

「べっつに～♪
本当のことを言ったまでだけど。」

「何が言いたいんだ？」

「もう恋はしないんじゃなかったの？」

「そのはずだった。」

「『だった』？」

「ああ。少しは進めてるのかもしれないな。あの時から。」

「だといいけど。」


俺の部屋に着いた。