傷だらけの僕等
「俺がものっすごい腹減ってたからここにしたけど、他にどっか行きたいとこある?」

「え…?」

「服買いに行きたいとか、映画見たいとかないのか?」

「だって…怖いもん。
あたしはあの家で、先生といられればそれでいい。」

「そっか…。」

彼女が少し俺に心を開いてくれたからと言って、それで彼女の苦しみが消えたわけではない。
むしろ、俺が話させたことによって余計に鮮明に思い出させてしまったのかもしれなかった。

「ごめんな。」

「え…?」

「無理に聞き出して。」

「……。大丈夫。
あたしは大丈夫だから。」

「余計に思い出させたんじゃないか?」

「大丈夫だよ。」

「そっか…。」

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