傷だらけの僕等
【Risako side】

「『甘え』の裏…?」

「そう。今にして思えば依存とも言えるくらいの美智の甘えには理由があったんだ。」

先生は苦々しげにそう呟いた。
ぐっと唇を噛みしめる。
過去の自分を悔いるみたいに。

「俺が大学2年になるころ、ほとんど美智は家に帰らなかった。
ずっと俺の家にいた。
俺はそれが嫌じゃなかった。だから何も言わず、ただ家に置いた。」


あたしは先生の話の先が全く読めなかった。

二人がバラバラになってしまうような未来を予想できない。

『一緒にいることが自然』

そんな風に言える存在と離れる理由が、あたしには分からなかった。


「美智が俺に依存していただけじゃないかもしれないな。今思えば。
俺も美智に依存していたんだろう。」

「先生が美智さんに依存…?」

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