傷だらけの僕等
そう言ってるけど、絶対俺が手を出せば元に戻る。

彼女の言ってることはほとんど本心じゃない。

特に自分のことは。

彼女は自分を大切になんかしない。

それを一番やめさせたかったりする。

彼女には、自分の幸せだけを考えてほしい。


「お前は…。
もういいから寝ろよ。」

「寝てるときにはさすがにやめてね。
やるなら今だよ。」

「いいから黙って寝ろ。」

彼女は俺の腕を振りほどくことなく、すっと眠った。


この腕に彼女を抱いたまま眠れる幸せ。

この時は、目の前にある幸せに溺れていた。


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