傷だらけの僕等
「なんで逃げたんだ?」

優しそうな声で言ってくる。

そう。

あいつはいつもそう。

人当たりの良いフリをしている。

本当は狂っているのに。


「ん?どうした?
なぜ答えない。」


肩が竦んだ。

久々に感じる恐怖。

この顔を見るとフラッシュバックするあの光景。

震えが止まらなくなる。


「こんなところで立ち話もなんだから、行こうか。」

そういってあたしに手を伸ばす。

「さ…わらないで…!!」

あたしはその手を払いのけた。


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