傷だらけの僕等

猶予

* * *

もうすぐ先生の帰ってくる時間。

あたしは目をタオルで冷やす。

先生にバレてはいけない。

帰るよ、帰る。

闇に戻る。

あたしは元々、綺麗な世界の住人にはなれない存在だったのだから。

先生があたしに少しだけ綺麗な世界を見せてくれた。

それで充分だよ。

先生に迷惑がかからないうちに、

あたしは出ていく。

でも…

最後に2週間だけ…

最後の2週間…

あたしに夢を見させて。

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